O.Aガール!

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 出迎えてくれたスタッフルームはいつもと変わらない。ねぎらいの言葉もなく、ただ“通常業務”に戻るだけ。会議の準備をして、終わった夕刊をチェックして、ネタになりそうな記事をコピーする。同期とコピー機の前を陣取って、見出しだけをざっとさらってはコピー、何新聞の何面かをマジックで書き込む。それをネタごとにまとめて、複製して、留める。慣れてしまえば、頭で考えることもないルーティンワークだ。 「大丈夫?」 「え?」 「さっきからため息がエンドレスで漏れてる」  無意識というのは恐ろしい。 「……取材でさ、マスゴミって昔の友達に言われたんだ。そう言う人がいるってことは知ってたけど、自分がそう思われてるとは思ってなかったんだよね」 「それは迂闊だったね」  過酷な仕事も笑顔ですんなりこなしてしまう同期は、歓迎会で「報道をやりたい」と厚く語っていた。だから、彼もショックを受けるかと思ったのだが、いつも通りの穏やかさだ。 「こっちだってさ、頑張ってるのに……悪いことでもしてるみたいに」 「その人がなんでそんなことを言ったのかは知らないけど、報道という大義名分で、他人の生活に踏み込んで、時には踏みにじるようなこともするのは確かだよね」 「報道を目指してるのに、そんなことを思うの?」  彼の言葉は意外で、私はもやもやとしていたことも忘れ、純粋な疑問を持つ。彼はおどけたように、こそりと耳打ちをしてくる。 「実は、僕は報道は淡々と事件や出来事を告げればいいと思ってるんだ」 「じゃあ、今の報道は間違ってる?」 「間違ってるわけでもないと思うけれど。最近は煽ってるだけじゃないかと思うネタを扱うこともある。こんなこと誰が知りたいのか、本当に視聴者に求められているのか、おかしな義侠心で語ってないか……そういうことが怖くなるときがあるよ。朝未さんは、その友達に何を聞きたかったの?」 「私は……」
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