転機

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   有沢とは、高校生の頃に知り合った仲だ。なんとこいつとは高校生活三年もの間、ずっと同じクラスだった。  売り言葉に買い言葉でよく喧嘩もしたけど、お互い馬鹿騒ぎして、文字通り青春を謳歌していたものだ。  そんな俺と有沢は何と大学でも一緒になり(しかも学部学科まで全て一致)、お互い似たような科目を取り続け似たような資格を取り続け、同じ企業に就職してしまったことで、遂に本格的な腐れ縁へと突入するに至ったのである。  もっとも入社後は別々の部署に配属されることになり、俺と奴との腐れ縁もこれで幕引きか……と思いきや、俺の異動によって結局一緒になってしまったのである。  本当に世の中、分からないものだ。  そういう訳で俺とこいつは、互いのことが手に取るように分かるのである。そのことをよく別の同僚にネタにされることもある。しかも、こいつは満更でもないってのがたち悪い。  一応、心の中で注釈・宣言しておくと、俺は断じて同性愛者ではない。断じて。  とはいえ、奴が俺にとって親友であるのは事実だし、と同時に少なくとも今、俺はこいつには頭が上がらない。    俺の仕事を手伝ってくれたり(今日のプレゼンの準備も)、俺が苦しいときは愚痴を聞いてくれたり。  基本、有沢は良い奴なのだ。そして、スゴく面白い奴でもある。  よし、有沢に昨日の話でもしてやろうか。  昨晩電車の中で唐突に死亡宣告をかましてくれた、あの奇妙なお爺さんの話を。
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