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「だけど。」
突然、レン君は変わってしまった。まるで私を避けるかのように、必要以上に距離を取っているのは明らかだった。
「電話、してみよう。」
メールも送ってみた。以前は仕事中であっても、直ぐに返信が帰ってきていた。愛してるよ、と言葉を添えて。
けれど、最近はそれどころか返信すらしてくれない。居合わせる機会が無いから、追及することも出来ない。
だからといって、電話しても出てくれるかどうか分からないけどね。
「只今、電話に出ることが出来ません。暫くしてから、お掛け直しください。」
やっぱりダメか。ここ最近は、電話を掛けても全く出てくれない。
そっちがその気なら、と手紙で反撃したこともある。それでも返ってくるのは、また今度という決まり文句。
「私のこと、嫌いになっちゃったのか、な。」
「……どうして、どうしてよ、レン君!」
気がつけば、辺りは滅茶苦茶になっていた。テーブルの小物は床に散乱し、椅子は部屋の片隅に転がっていた。
「レン君、私を一人にしないでよぉ。ねぇ……」
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