蜜隣ーmitsurinー

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「何でそんな事……」 私が瞳に涙を溜めながらそう告げると彼は机から飛び降り、私の目の前まで歩いてくる。 彼に悪意は無かったとしても、今の言葉だけは許せない。 私がカバンを肩にかけて走り出そうとすると、彼は私の手首を掴んで引き止める。 「待てよ……。俺、お前を泣かす為にそんな事を言ったんじゃない。俺と一緒に帰れよ」 命令口調で理解不能な事を告げる彼の顔は笑うでもなく、怒るでもなく、ただ真剣な瞳を私に向けていた。 「私を……からかわないでくださ……」 「お前多分、俺の事好きだろう?」 私の言葉を抑え込むように告げられたその言葉は、私の周りから聞こえている音を全て止めた。 運動場から聞こえてくる野球部の掛け声、屋上から聞こえてくる吹奏楽部のトランペットの音色、廊下から聞こえてくる男子生徒の笑い声。 全てが無くなる。
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