蜜隣ーmitsurinー

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アルバムから目を離して窓を見つめると、今にも雪を降らせそうな雲が空に広がっていた。 風に揺れる洗濯物を見つめながら立ち上がると、玄関のチャイムが鳴る。 こんな時間に来るとしたら宗教の勧誘か新聞の営業だろう。居留守を使おうと思いながらも、モニターで玄関前の様子を見ると、ラフな格好でポケットに手を突っ込んだ蓮が立っていた。 居留守をしようとしていた数分前の自分を忘れた私は、通話ボタンを押して話し掛けていた。 「ど、どうしたの?何か用?」 十年前に教室で初めて話し掛けられた時のように愛想ない声で尋ねると、彼は後頭部をポリポリ掻きながら、「暇だから」と呟いた。 「馬鹿じゃないの?暇だからって隣の家に急に来たりする?私達はお互いに家庭を持ってて……」 「そんなこといいからさ、とりあえず家に入れてよ。寒ぃ……」 彼は自分勝手にそう言い放ち、白い息を覆うように鼻と口に両手を当てた。 『隣なんだから家に戻ればいいでしょう?』と言う台詞が頭に浮かんだものの、何故か身体は玄関に向かって歩き出し鍵を解錠してチェーンを外していた。
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