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手紙を読み終え、涙が溢れないように天井を見上げる。
『私は幸せ』
二度も文面に残されたその言葉を噛みしめながら立ち上がると、いつ息子が描いたのか分からない絵がおもちゃ箱の上にポツンと置かれている事に気付く。
手に取って視線を落とすと、『ママ、げんきだして』という文字とクレパスで描かれた私の顔が用紙いっぱいに広がっていた。
その絵を手にしたままその場に膝をつき、渇き始めた瞳から再び涙が溢れだす。
甘い蜜の香りはもうしない。
あるのは、家族三人で暮らしてきた生活の匂いだけだ。
FIN
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