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彼が誰にも文句を言われず、ここにいられる理由。それは僕の伴侶となること。調べる限り、召喚者と召喚獣の婚姻はそう珍しいことじゃないらしい。命を預け、護り護られる間に恋愛感情が生まれるのはよくあることみたいだ。
「美人で健気で、僕の役に立ちたいだなんて可愛いことを言う君と結婚できて、すごく幸せだ」
好きだよと告げると、手を絡めて引き寄せ抱き締めた。僕の力と彼の力が共鳴し合って、うっとりするほど心地がいい。
黙ったまま僕を見上げているヒイラギに顔を近づけると、このまま食べてもいいよねと、自問自答しながら柔らかな唇を塞いだ。
僕たちの周りを取り巻く黄金の渦が、キラキラと舞い飛ぶ。水晶が触れ合う、澄んだ音が幾つも弾ける。身体中が暖かくて、とても幸せだ。
「召喚契約して君が危険な目に遭うのは嫌だけど、僕の役に立ちたいって言ってくれて嬉しい。君が僕をずっと側で支えてくれるなら、僕はなんでもできる気がするし、君と君のいる世界を守りたいと思うよ」
ベッドの上で二人でシーツに包まったまま、僕はそう言ってヒイラギを抱き締めた。
「あの……サリュー、俺男なんだけど」
「うん、夕べ全部見たから知ってるよ」
恨めしそうな目でこちらを見やるヒイラギに、どうしたんだろうと首を傾げる。
「おかしいだろ、男同士って。こんなの知ったら、王さまとか反対するんじゃないのか?」
「別におかしくないし、父上や母上も報告してあるから大丈夫」
二人共僕に甘いから、僕がヒイラギと結婚したいと言ったら、大喜びで賛成してくれた。なんでも僕がなにかに興味を持ってくれたのが嬉しいそうだ。上に三人も跡継ぎがいるしね。
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