芸術評価の基準

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 ところで、ここにワーグナーをこよなく愛するドイツ人がいました。 名を、アーブラハム・S・フリートというそのロボット工学の権威である名誉教授は、日本のカラオケマシンに着想を得て、ある前代未聞の発明をしました。  ブリュンヒルデと名づけられたその人工知能は、あらゆる音楽の情報を並列化し、音楽だけでなく、絵画や演劇、写真にスポーツ、日本の古典芸能に至るまで、あらゆる芸術性を持った作品・演技・人物等のデータをインプットしてあります。 そしてブリュンヒルデは、人工知能として初めて、芸術性を評価するために造られた存在なのでした。 ブリュンヒルデが発明されるやいなや、そのニュースは瞬く間に世界中をかけ巡り、すぐさまブリュンヒルデのデータをもとにした試作品が出荷されました。 まだまだ試作の段階ですが、日本ではすでにブリュンヒルデによる採点を導入していたのでした。
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