ある合唱団での少女の歌

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 グートルーネの横で歌っていたれみちゃんは、ずーっと肩を組んで難しい顔をするひとりの人物を見つめていました。 その女性は、暑い化粧をしサングラスを掛け、たかが小さな合唱団の発表会で豪華な衣装に身を包んだ人でした。 「麗美、あなたこんなレベルの低いところでよく歌えるわね。まるでおゆうぎ会だわ。母さんがもっとレベルの高いところを紹介してあげる。ちゃんとボイストレーニングもできて、ブリュンヒルデの攻略法だって教えてくれる。さあ、こんなところさっさとやめるのよ!」 「ママ、いやよ。あたしそうせい合唱団のみんなと歌いたいの!皆と歌っていると、楽しいんだもん。」 「何を言ってるの?あなたプロの歌手になりたいんでしょう?こんなところで油を売っていたら、プロの歌手になれないわ。 世の中甘くないのよ、プロってのはね、歌っているとき楽しいなんて思っちゃいけないの!死ぬ気で歌わなきゃならないのよ!」
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