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事の発端は、遡ること1週間と少し前。
「ねぇねぇ、エド~
全然仕事が捗らないじゃん?」
「だから~捗らせるためにも面白いことしな~い?」
「下らんことを言う前に、手を動かせ。手をな。
そもそも、お前達が一番遅れてるだろうが」
「「なにそれ~ひっどーい!!
ノリ悪~い!!!」」
名案だと言わんばかりな顔をして言ってきた双子にそう切り返すと、文句が返ってきた。
……まったく面倒くさい。
「ねぇエド~
私もラリーとリリーちゃんの意見に賛成だわ」
「私もこの2人の仕事が捗ってくれるならそれもよいと思います」
「2人の仕事が捗らないせいで副会長とわたくしに被害が出ているのも事実ですから、聞いて差しあげてもよろしいと思いますわ」
「……聞くだけ聞いてやればいいんじゃないか?」
ジュリア、ミカエル、ケイト、そして黙々と仕事をこなしていたキヨハルまでもがそう言ってきて、聞かざるをえなくなった。
「聞くだけだぞ」
「それでこそエドだよ~!」
「いっけめ~ん!!」
「ふざけてないで早く言え!」
「「はーい」」
「あのね!
来週の親睦パーティーの前日までに一番早く仕事を終わらせた人は、一番遅かった人になんでも1つ言うこと聞かせるのに加えて罰ゲームがあるっていうの~」
「まぁ、それだと仕事量で差が出ちゃうから、1~3学年で親衛隊が作られてる子を親睦パーティーに誘うのが必須条件ね~」
「何で必須かは、パートナーの子の親衛隊員の数をポイントに換算して~」
「そのポイントによって振り分けられる仕事の量が決まるって仕様だからだよ~」
「期限は今日一日~」
「皆、婚約者にはちゃ~んと説明してね!」
「「誤解されて痛い目みるのはイヤでしょ~?」」
ニヤニヤと笑って言った双子に、なんだか嫌な予感と寒気が止まらない。
こういう顔をしている時は大概、いつも俺が何かしらの被害を被るんだ……
「いいじゃない!それ面白そ~!」
「フフッ……それは面白そうですね」
「2人にしてはとてもよい提案ですわね」
「…………エド、すまん」
単純に面白がっているジュリアに、黒い笑みを浮かべたミカエルとケイト、そして何故だか哀れみの視線と共に謝ってきたキヨハルに、嫌な予感からすこぶる嫌な予感に変化した。
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