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「……突然来てすまなかった。
パートナーは諦める……その代わりと言ってはなんだが、俺様がレイカと呼ぶ事を許してくれないか?」
最悪な出会い方をしてしまった俺には、カグラ レイカのような人物と、友人になるなんて烏滸がましいと思ったが、一縷の望みを懸けて名前で呼ぶ事の許可を仰いだ。
「名前を呼ぶのは構いません」
長く感じた間の後に、カグラ……いや、レイカからその言葉が返ってきて、思わず頬が緩んだ。
エ「俺様のことはエドと呼んでくれ。
俺様はこれで失礼する……またな、レイカ」
名前で呼べるようになったことで、レイカに一歩近付けた気がする。
ふと、自然に上がる口角に自分が笑っている事に気付いて、気恥ずかしくなった俺は足早にレイカのクラスから去った。
この時、かなり受かれていた俺の頭からは、双子の企画のことなんてすっかり抜け落ちていた。
思い出したのは、授業を受け終わって生徒会室に入った時だった。
「「エドおっそ~い!」」
輝かんばかりの笑顔でそう言った2人の悪魔。
「皆のポイント集計終わっちゃったよ~!」
「ちなみに~ケイトが一番ね~」
「なんて言ったってパートナーがミカだもの~」
「なっ!?
それ反則じゃないのか?」
その悪魔達を蠱惑的な笑みを浮かべて抱き締めるジュリアの言葉に思わずそう返した。
すると、
「あら、ラリーとリリーは生徒会役員から選ぶ事も、婚約者をパートナーに選ぶ事も禁止にしていませんわよ?」
「私は初めからケイト以外を選ぶつもりありませんでしたしねぇ」
にこやかに笑うケイトとミカエルに、背筋に嫌な汗が流れるのを感じた。
よく考えてみると、ミカエルとケイトが言っていることは間違いではない。
それに、そもそもミカエルとケイトは、学園でも上位に入る程多くの人数が入隊している親衛隊持ちで、お互いがお互いを好きすぎるという貴族間の婚約では珍しい婚約者同士だから、他のパートナーを選ぶような企画には絶対に乗らないはず。
それなのに、この企画に乗ったと言うことは……凄まじく嫌な予感しかしない!
パートナーのことだって忘れていたしな!
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