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「いや?何でもないぞ?」
「怪しいですね。
あなたは何かを隠す時には必ず耳を触る癖が出るんです。
今も癖が出てます、大人しく白状なさい」
冷や汗をかきながらも勤めて平静に言うと、瞳を細めて疑わしそうな顔をしたミカエルに鋭く指摘された。
何かを隠す時には必ず耳を触る癖とか、なんだそれは!!
初めて知ったぞ!!
というか、パートナーの件……どう話せばいいんだ。
結果。
必死に誤魔化そうとしたが、ミカエルとケイトの2人に、セイザという大和国の座り方をさせられながら問い詰められて、正直に話してしまった。
「ブフッ……断られた挙げ句~」
「パートナーのこと忘れるなんて~」
「「エド、めっちゃおバカさんじゃん!!」」
「プフッ……アハハハハッ!
だめ、プフッ……笑いが止まらないわ~」
「……クフッ」
「プッ……しかも、名前を呼ぶ許可を求めるなんて……クフフッ……」
「……フフッ…フフフッ……生徒会長にも、ようやく春がやって来たという事では?……フフフッ…」
あれ?
俺って生徒会長の前にこの国の王子だよな?
それなのにこの扱いって…………いかん、目に水分が集まってきた。
「あ~ミカ、ケイトちゃん。
エド泣きそうだし、そこまでにしてあげましょ~?」
「会長だっていい歳でしょう。
いくらなんでも泣くなんて……!?」
「……エルどうしましょう。
エドが今にも泣きそうですわよ!?」
「エド……」
「「アッハハ~涙目になってる~」」
ーコンコンコンッ
「アイリーン・グランジュールですわ。
入室を許して頂いてもよろしいでしょうか?」
後一歩で目に溜まった水分が溢れるというところで、扉からノックの音と鈴を転がしたような愛らしい、聞きなれた声が入室の許可を求めるのが聞こえた。
「……エド、大丈夫か?」
ーコクッ
「……アイリーン、入ってくれ」
「失礼致しますわ」
気遣わしげに言ったキヨハルに頷いてから自分の席へと座って目元を拭い、入室を許可するとアイリーンが聖母のごとき微笑みを口許にたたえて入ってきた。
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