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そして、
「あんな下半身が脳に付いているみたいなゴミ虫……いえ、ゴミクズ男なんて、ゴブリンやオークの巣穴にでも裸で放り出されればいいのよっ!!
『正室として迎えるのだから、私のパートナーになるのは当然だろう』!?
大体、私は婚約者でないわ!
外交に関わる国の王子だから丁重にもてなせとお父様に言われて、仕方なく戯れ言にも我慢してれば……それを…それを都合良く解釈して勘違いも甚だしいのよっ!
それに、あの男は世の女性の敵!!
常日頃、危機を感じてはいたけれど……ついに昨日、私の純潔が奪われそうになったのよ!?
咄嗟に、転ぶ振りをして急所を蹴り上げたから良いものの……貞操の危機よ!貞操の危機!!
私だけならまだしも、私の侍女や他の令嬢にも手を出そうとするのよ!?考えられる!?
発情期の獣よろしくあれほど性欲を持て余しているのならいっそのこと、淫魔の眷属にでもなれば良いのよっ!
……ふぅ。
私ね、あのゴミクズにはもう我慢ならないの。
エド……いいえ、エドモンド。
留学期間は半年と決まっていたのだから、今すぐアレを国に送り返すように貴方から陛下へ進言してちょうだい。
もし、進言してくれないと言うのなら……私、前倒しであの計画を開始するわ!!
そうなったらお兄様、お姉様達がどうなるかは、エドモンドは身に染みて分かってるわよね?
半年もの間、神経が磨り減る思いをして我慢したのだから、これくらいのお願いは聞いてくれるでしょう?
あ、後、アレとパートナーになるのは絶対に嫌だから、パーティーには私をパートナーとして連れていきなさい。
絶対よ?」
「……」コクコクコクッ
鬱憤と頼みを開口一番に止まることなく黒いオーラと殺気を振り撒いて言ったアイリーンに、俺は首を縦に振る以外の選択は取れなかった。
アイリーンは、亡き父上と現国王である陛下の妹である叔母上の娘……つまり、俺の従姉妹だ。
品行方正で才色兼備、非の打ち所のない所から令嬢のお手本とまで言われている。
そんなアイリーンだが、嗜み程度に習うはずの護身術を並みの騎士では太刀打ちできないレベルまでに昇華させ、社会見学と称して城下へ繰り出したかと思えば、ギルド登録して2つ名持ちのギルド員になっていたり、令嬢なら菓子作りにとどまる料理に関しても、王宮の料理を取り仕切る料理長を唸らせる程の腕前を持つといった、かなり変わっている令嬢だ。
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