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9月に入ってから雨が降る事が多かった。
もしかすると、梅雨の時期だと言われる6月頃よりも雨が多かったかもしれない。そんな日々が続いていたが、久しぶりに天気にも恵まれ、のどかな昼下がり。
雲一つなく、今日は本当に天気が良い。
微かに太陽の陽射しが背中に辺り、眠気を誘う。欠伸を噛み殺しながら、書類を書いていた手を止め、窓の方を見る。
カーテンの隙間から入ってくる陽が少し眩しくて、目を細める。明日も晴れだといいな…なんて思いながら、席を立ちカーテンの裏側に潜り込んだ。
休憩がてら、暫し空を見ていた。
ぼーっと空を見ていれば、キィーッと音をたてながらドアが開かれた。
「会長?」
呼び掛けてきた声に反応し、カーテンを捲りあげると、泉月(みつき)が立っていた。
「なに?書類取りに来た?」
「はい、それもなんですけど…今日久しぶりにいい天気ですね」
「うん。前いつ晴れてたか覚えてないぐらいには、雨ばっかだったし」
書類まだ半分位しか終わってないけど…と言いながら、記入済の書類を掻き集め手渡す。
帰るまでに残りのもう半分、片付けてしまわねばならない。放課後も残っても構わないが、いつもだらけてしまうので、今日はなるべく早く片付けてしまいたいのだ。
「あ、珈琲淹れますね。…と、そういえば会長、転入生が来る話聞いてたりします?」
珈琲を淹れるために備え付けのキッチンに立ち、手際良く準備をしながら泉月が話し掛けてくる。
転入生?一体誰がそんな事を…と一瞬思ったものの、確かにこの間誰かからその話を聞いた気がする。校長からだったような…曖昧な記憶。
「うーん…何かちょっと聞いたような気がするけど…あんま覚えてないかも」
「会長色んな話聞かされてますもんね。確か…話によると、私達と同じ2年生みたいですね」
「へ~!あ、今日は砂糖より蜂蜜」
「分かりました。…でも、この季節に転入生なんて珍しいですよね」
「そう言われたらそうか。」
9月ももうすぐ終わりな上に、2年生という何とも微妙な時期。今まで何度か転入生が来る事はあったが、どれも進級の時期に合わせる形で4月に入って来る生徒が多い。
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