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ティーカップ2つとお茶菓子の乗ったおぼんを手に、泉月がこちらへ戻って来た。ティーカップからは美味しそうな香りと、淹れたてで熱そうな湯気が上がっている。
ティーカップの横には、スコーンの乗った皿が添えられ、こちらも美味しそうだ。
「ん~美味しそう」
「最近チョコ系統が多かったので、久しぶりにプレーンにしてみたんですけど…あ、お代わりもあるので言ってくださいね」
紅茶と一緒に食べるのもよし、付け合せの生クリームやジャムなどを付けるもよし。
泉月の作るお菓子はいつも美味しい。何度か手料理を食べた事もあるが、そちらも絶品で…手先も器用な為、盛り付け方などもプロに近いのだ。
始めはプレーンの味を楽しむためにそのまま食べてみれば、今日も変わらず美味しい。どうですか?と聞いてくる泉月に対して、美味しいと返せば嬉しそうに微笑む。
「美味しいけど彼女が居たらちょっと可哀想」
「ええ、どういうことですか…」
「だって泉月って料理もお菓子も作れて、おまけに美味しいとか…彼女負けちゃうじゃん」
「あははっ!…そうなんですかね?でも、作ってくれることが嬉しいですよ」
考え方までもイケメンか…と言いたくなるような返しに、そういえば泉月の好きなタイプってどんな人なんだろうか、とふと考える。
昔に聞いたことがあるような気もするが、色んな人と接したり話したりしているせいかところどころ抜けていく記憶。今でこんな事なら、この先が思いやられる。
そんな事を考えながら紅茶を飲み色んな食べ方を楽しみつつ、黙々とスコーンを食べていれば、3個くらいあった筈なのにもうお皿は空になっていた。
「終わっちゃった…」
「お代わり持ってきますね」
「うん」
席を立ちスコーンを取りに行く為に再びキッチンへと向かう。
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