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泉月はスコーンの入っている入れ物を手に戻って来ると、小さなトングを使って皿に幾つか乗せてゆく。早速追加されたばかりのスコーンに手を伸ばそうとした直後、コンコン、とノックする音が聞こえてきたのだ。
誰だ?と思うと同時に、泉月は見てきますね、と言い残し確認すべくドアへと向かって行った。
スコーンに触れる手前で止めていた手を、再びスコーンに伸ばし1つ手に取る。次は何を付けて食べようか?ときょろきょろとしていると、ふいに背後から軽い衝撃を受け、慌ててスコーンを落としそうになった。
「…ちょっと、誰?」
スコーンの無事を確認して、少し不機嫌そうに後ろを振り向く。どこか嬉しそうに微笑みながら、こちらを見ている人物が居た。相楽(さがら)だ。
楽しそうに円来(つぶら)~!と抱き着くかのように、両手を伸ばしてくる。
「スコーン落ちるかと思った」
「ごめんごめん。そのお菓子どうしたの?」
「泉月が作ったやつだけど…」
「手作り…?え、だめだよ。円来には僕がもっと美味しいもの用意してあげるからそれ食べよ?ほら、早くそれかして。あ、そういえば円来苺が好きって言ってたよね!今度苺のタルトが美味しいお店知ってるから食べに行こう?いいでしょ?」
長々と話しながらスコーンを渡すようにと手を伸ばしてくるが、それを見兼ねた泉月が、その手を静かに下ろさせようとする。
毒なんて入ってませんよ失礼ですね、少しムッとした表情で言い返す。泉月には関係ないから邪魔しないで、と負けじと言い返す相楽。
これが始まると、いつも長いのだ。
2人とも折角同じ生徒会メンバーなんだから仲良くすればいいのに…と2人を横目にスコーンを食べながら、円来は再び窓の外へと視線を移し青の広がる空へと視線を移した。
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