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ぼんやりと空を見ていれば、いつの間にか2人の声は聞こえなくなっていた。終わったかな?と思い振り返れば、2人がじっとこちらを見ていたのだ。
2人も久しぶりの晴れた空が気になるのかな、としばし静かに見守っていたのだが…どうもずっと目が合う気がする。
「……何か顔についてる?」
明らかに空ではなくこちらを見ていると気付いたので、思い切って聞くも、2人とも言葉を発する事なく小さく首を左右に振るのみで。
「…やっぱり、円来って綺麗な顔してますね」
「君に同意するのは癪だけど、分かる」
「別に…普通だと思うけど…?」
確かにたまに言われる事はあったが、特に気にした事はなかった。
否定するといつも決まって、みんな近く位にいる人と顔を見合わせる。案の定、泉月と相楽はお互いに顔を見合わせ…そして何故か溜息をつかれる。
人の顔を見て溜息をつくだなんて失礼だ、と言ってやろうと思ったがそういう事もあるか…と、円来は特に気にしないでおくことにした。
そんなこんなしていると、時間を告げるチャイムが鳴り響く。
ふと机を見て我に返る。まだまだ山積みになっている書類の束が目に入ってきた。
スコーンを食べたりのんびりしている場合では無かったことに気付き、手に持っていた食べかけのスコーンを口に放り込んだ円来は、作業に戻るべく再び机に着き、残りの仕事を片付け始めた。
「あ、そっか今月書類多かったんだね…円来!僕も手伝うよ!何かすることない?」
「会長、私も手伝いますよ。時間取ってしまったようですしね…」
確かに残り半分とはいえまた同じ時間がかかることを考えると…少しゾッとする。
いつも嫌がらず手伝ってくれる泉月に加え、円来以外との交流をあまりしたがらない相楽だが、生徒会のメンバーが困っていれば何だかんだ手伝ってくれる。
そんな2人の言葉に素直に甘え、円来は適当な束を2人に渡した。勿論、円来1人でも平均よりは作業時間は短いのだが、やはり人数が増えた分、予想していたよりも早く作業を終えたのだった。
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