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トライ
俺は城から出られない冒険者。
もうなんやかんやで四ヶ月は、城から冒険の旅に進めていない。それは前作と前々作を読んだ読者なら分かってもらえるはず。
不平等な世界は、現実だけではないのだ!
ゲームの中にもある。
3マス目でスライムが大量に出現し、俺を気絶させる。
前作でその原因は分かった。
俺は呪いのコインを誰かに持たされていた。
いや、もういい...。
そんなことは、もうどうでもいいんだ。
復讐すると決めたからッ!
俺には世界を救うとか、姫を助けるとか、本当にどうでもいいんだ!
俺は外の世界を見てみたい。
ワールドマップを周ってみたい、ただそれだけなんだ。
あっ、あと復讐する。
訂正。その二つだけ。
まずは呪いを解くことが先決だ!
だが、そんなことは造作も無い。
城にいるなぜか呪いを解いてくれるじじいに話し掛ければ済む。
シャイな俺が話し掛けるんだ、凄い勇気だ!
いや、それほど復讐心と冒険心が溢れているんだ、湯水のごとく!!!
早速、話し掛けるか...。
....。
........。
............。
いや、分かってるよッ!
話し掛けるよ!
シャイなんだよ、焦らせるなッ!
「あっ、あの、呪い...、解いてくれませんか..お願いします」
じじいが返事をする。
「なんじゃ、呪いにかかってしまったのか?それでは解いてやろう!キアリーッ!!どうじゃ?」
俺は、これからまともな事を言うぞ。
心して聞け!
「毒じゃねーよ!何がどうじゃ?だよッ!毒のステータス異常じゃねーんだよ。あんた呪いって自分で言ってたじゃないか!?幻聴か?俺の幻聴なのか!!」
じじいがブツブツ言いながら返事をする。
「冗談じゃよ。全く、最近の若いものは洒落がわからんなぁ。そもそも呪いは専門外じゃ。呪いなら神父じゃろ?そんな事も忘れたのか。城の教会へ行きなさい」
あっ、そうだ!
呪いは教会だった...。
マジかよ...。そんな事にも気づかなかったなんて...。
悔しいけど、じじいの言うとおりだ。
そうと分かれば、じじいに用は無い。
さっさと教会に急ごう...。
俺がその場を離れようとすると、じじいが俺に話しかけた。
「おい、若造、忘れもんじゃ」
じじいは俺に、呪いのコインを渡した。
くそッ!
バレてたかッ!!
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