婚約

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そのうちアークたちがやってきたのを見ると、カルトラはサリに、双王陛下のお相手をなさいと言った。 やがて、時間少し前にカリとイズラがやって来て、客たちは大きな拍手でふたりを迎えてくれた。 レザラが言った。 「皆さんお集まりいただきありがとうございます」 レザラはカリとイズラを身近に招いた。 「今日このような知らせができることを嬉しく思います。皆さん。こちらが我が息子イズラ・イル・ネハナ。そしてこちらがカリ・エネ・ユヅリ。ふたりは今日、この時をもって婚約いたします!」 わっ、と拍手が起き、ふたりは用意してきた彩石を互いに交換した。 「いずれ来るその時まで、温かく見守ってやってください。そして皆さん、ここにおられる方々が、今後ふたりが繋げる方々です!」 近くにいた客同士が拍手をしながら互いに目礼しあう。 「どうぞ大いにご歓談なさり、新たな繋がりを祝ってください!」 それからしばらく、挨拶の輪が広がり、サリもサムナに紹介されて、数人の王城関係者と挨拶した。 それらが一通り収まると、食事が運ばれてきて、皆、好きな料理を取っては食べ、談笑して回った。 12時になると、レザラが硝子の器を鳴らして注目を集めた。 「さあ、皆さん、ご覧ください。こちらが現在シャガラク遊技場で人気の曲芸師たち、アルカンタハラです!」 わっと歓声が上がり、噴水の間を曲芸師たちが跳ね回る。 その技は多く水の異能によるもので、美しく、楽しく、胸弾むものだった。 曲芸師たちは様々な芸を見せながら、音楽にのせて、ひとつの壮大な物語を紡ぎあげ、集まった人々に興奮と感動を与えた。 やがて物語が終着すると、大きな歓声と拍手が湧きあがった。 気が付くと、机の周りには椅子が並べられ、茶の用意が整いつつあり、感動の余韻を味わいながら、人々は椅子に座り、今しがた見た曲芸の素晴らしさから、やがて身の回りの様々なことを話し始めた。 サリは曲芸師の技を見るのは久し振りだったので、興奮してアークたちと話し合った。 16時になると、レザラが再び硝子の器を鳴らした。 「皆さん、そろそろお開きにしたいと思います。本日は、温かいお心遣い、ありがとうございました」 それから客たちは、レザラやカリやイズラたちに声を掛け、ほとんどが帰っていったので、サリはカルトラに、食事に出掛けると言ってから、アークたちとともにネハナ邸を出た。
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