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―Ⅱ―
アークたちは、ネハナ邸を出ると、大通りを南下して港の遊興施設が並ぶ通りに入った。
アークは前に一度来たことのある遊技場にルークを連れていき、風の力で浮遊できる遊技で、ルークと一緒に楽しんだ。
この遊びはルークも気に行って、ふたりは、2度、3度と同じ遊技を繰り返した。
その後、一行は同じ施設内で、地面すれすれを浮遊する円盤を叩いて、動く籠に入れる遊技をしたり、滑走上で風の力で滑ったりして遊びまわった。
「楽しそうだな」
滑走上で両手を引かれながらデュッカに言われ、ミナは笑顔で答えた。
「楽しいですもん!こんなに笑ったの久し振りかも」
「そうか」
「デュッカは楽しくないんですか?」
「ん?お前の反応が面白い」
「そっ、それってどうなんだろ…」
微妙な返答に困ったように笑うが、すぐに集中しないと転んでしまう現状に立ち戻り、ミナは足元に意識を向けた。
そんな様子を遠目にしながら、アルは隣のファイナに、あのふたりどこまで進んでんのと聞く。
「お前が他人の恋愛に興味があるとは驚きだ」
「いや、カリとイズラが婚約したろ。年齢的にはあっちが先じゃないかと思ってさ」
「こればかりは年齢でどうにかはならないだろ。あんまり余計な詮索してると痛い目を見るぞ」
そう話しているふたりのすぐ横をカィンとサリが抜けていく。
「サリ、上手いね。初めてには見えない」
「そう言うカィンこそお上手ですわ。どうしたら後ろ向きでそんなに早く滑れますの?」
「ん?前も後ろも一緒だよ。サリもやってみたらできると思うけど」
そこへルークが声を割り込ませた。
「いや、それはちょっと無理がある。僕にはできない。サリ、まっすぐ滑れるだけで充分だよ。ファラなんてスーから離れられないし」
「あれはあれで羨ましいがな」
シィンがぼそりと言って、そのままふたりは、アークとロアとユラ-カグナの元へ行く。
3人は、滑走上の脇で小休止中だった。
「…カィンを国外へ出して、ロアおじさまを北方に向かわせること、少し悩んでます…」
「頼ってくれてうれしいよ、アーク」
「あまり考え込むな。充てられる者は限られている」
「そうだけど…」
「3人で難しい顔して仕事の話?」
ルークの言葉に、アークは少し笑って言った。
「ううん、休み中。そろそろ食事に行かない?」
滑走上に掛けられた時計を見上げると、18時半ばだ。
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