休日

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言われて後ろに下がると、アルは彩石の溢れる地面に片手をついて、しばらくその下を探っているようだった。 やがて、ご、という音とともに、大人2人が囲うほどの円柱が浮き上がってきて、その高さは、口を開けて見上げてもまだ足りないほどだった。 「暗くて底が見えねえなっと」 アルの言葉に、はっとして足元を見ると、アルが、出現させた火の玉を、ぽっかりと開けられた穴の中に落とし込んだところだった。 近付いて見てみると、その火の玉は吸い込まれるように底まで到達し、どうやら真っ黒な黒土を浮かび上がらせているようだった。 「へえ、黒土なんて久し振りに見た」 この大陸は、黒土により成ってはいるが、その表面の多くは、養分の含まれた茶色い土なのだ。 「面白いな…早速彩石が出現してるぞ」 ファイナの言葉通り、揺らめく火が照らし出す穴の底では、新たな彩石が次々と出現しているのだった。 「おい、早く戻さないと埋められないぞ」 「うわ、やっべ。ザハリラ、もういいな?」 アルに聞かれて、ザハリラは、こくこくと頷く。 浮き上がっていた円柱は再び埋め戻されたが、腕の長さほどが溢れてしまい、そこだけ小さな山となった。 「ふう、危ねえな!」 「興味深いな…」 ファイナは自分の顎に触れて考え込んだ。 これほどの速度で増えていたら、彩石の泉は溢れて止まらず、森を覆うはずだが、そうならないということは、採石した量だけ増えているのだろう。 何者かの調整を感じるような仕組みだ。 「とにかく、こんな感じだ。次は選別場にでも行くか」 アルの言葉に従い、3人は歩いて行ける選別場へと足を運んだ。 その選別場は、採石場の規模に合わせているのか、とても大きくて立派で、ザハリラは、その建物の前で足を止め、感心の溜め息を漏らした。 今日は休日なので一部しか開いていないとのことだったが、3人は、1000カロン以下の力量の彩石の保管場や、1000カロンより大きな力量の彩石の保管場を見せてもらい、その広さ、石の多さに口を開けて()()った。 他にも、選別の仕方など見せてもらうと、昼食の時間が近付き、併設された食堂で、名物だというヴォッカのごろ煮をいただいた。 昼からは、同じく併設された博物館へと寄り、様々な種類の彩石に感心して見入った。 「あとはユウフラムにでも寄って帰るか」
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