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空振りに終わったパリスは、両手を地につけて体を回転させ、まだ体勢の整わない2人の足下を狙う。
これも避けられたが、ムトとスティンは、なかなか体勢が整わない。
そこへ、イルマに圧されたリザウェラが踏み込み、パリスはムトを、イルマはスティンを狙って鍛練棒を打ち込む!
リザウェラは巻き込まれないように頭を下げ、ムトとスティンは、リザウェラがいるため避け切れず、鍛練棒で攻撃を受けた。
受け止められたイルマは素早く後方へ退き、一旦、息をついた。
一方、パリスはムトの鍛練棒を打ち落とし、更なる打ち込みのため大きく両腕を上げた。
「あっ、ミナ」
スティンの言葉と視線の先に、ミナを見付け、イルマとパリスの注意が逸れる。
その機を逃さず、ムトは落とした鍛練棒を拾い、パリスの手元を強かに打った。
スティンも、鍛練棒を振ったが、空振りに終わった。
背後で風が唸る。
「遠慮は無用です」
次の瞬間、スティンは脇腹を叩かれていた。
「パリス、その程度で気を取られていたら、命がいくらあっても足りない」
「善処する。あぁ…でもなんで来てるんだ?」
「スティン、最後ためらったよね。ちょっと甘いよ」
「甘すぎですね」
「いや、悪かった、反省してます」
5人は言い合いながら、ミナの前に行った。
「今朝は早いですね」
イルマの言葉に、ミナは、ちょっと笑った。
「少し早く起きちゃった。そう言うみんなも早いね」
「次の仕事ができたからな…なんとなく朝の鍛練で落ち合おうとなった」
「でも珍しくセラムがいないようだけど」
「ああ、あいつは、ゆうべ深酒して…」
「へえ、なんか意外」
「おはようございます」
そのときミナの後ろから声がかかり、スエイド…マゼラスエイド・サーゴイルと、カル…カーライト・ヘルイスト、マラート・クウェメントが来たところだった。
「おっ、ちょうどいい、4対4でやりあおうじゃないか!俺は以前の対戦に出てないからなあ、やりたかったんだ!」
「私もです」
イルマが賛同し、ほかの者たちも頷き、8人が活動場に出る。
彼らは4人ずつでかたまり、話し合う。
「おーい、異能は無しでな!」
スティンが大声でもう一組側に言い、スエイドが了承の腕をあげる。
二組に分かれたのは、リザウェラ、スエイド、カル、マラートの4人が、水の宮公の代行をする水の側宮(そばみや)サリ・ハラ・ユヅリの護衛団だからだ。
イルマたち4人は、ハイデル騎士団。
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