招待

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いつもと違うカリを見られて、イズラは幸せだった。 ふたりは馬車に乗り、互いの石を()めつ(すが)めつして見ながら、今日見た色々なことを話した。 話している時のカリは、常の穏やかな笑顔ではなく、興奮の入り混じる、かわいらしい様子で、イズラは抱きしめたくて仕方がなかった。 ユヅリ邸に戻り、石を見せると、カルトラはがっかりした様子を隠せないようだった。 だが、カリは胸を張って言い切った。 「ごめんなさい、お母様。でもわたくし、どうしてもこれが欲しかったんですの」 カルトラはそのカリの態度に、目を(しばたた)かせたが、やがてゆっくりと微笑んだ。 「まあ、あなたがそれで…それがいいと言うのなら、わたくしが口出すようなことではありませんわ」 そうして、腕飾りがだめなら、それ用の袋を探しましょうかと気持ちを切り換えたようだった。 やがてサムナも帰ってきて、4人で明日の予定を話し合う。 サリは今夜は王城で夕食を摂るということで、帰らない。 「明日のお式は11時から。ネハナ邸で親戚や職場の方、もちろんお友達にも招待状を飛ばして、ほとんど参加のお返事をもらいましたわ。9時頃から準備のためにネハナ邸に行くから、サリには手伝ってもらえるよう言っているわ」 サムナが言った。 「カリはイズラと一緒に時間通りにおいで。彩石を持ってね」 「わかりましたわ」 「他に持つものはありますか?」 「いや、ないよ。お前たち自身が来れば充分だ」 そうして、誰が来られる、来られないなどを話していると、食事の時間となり、4人は夕食を楽しんだ。 食事を終えた後、帰り際、イズラはカリに、今日はありがとうと言っていた。 「まあ、自分のことでもありますのに、お礼を言うなんてなんだか変ですわ」 「そうかな。ただ…あんなに懸命になってくれたのが嬉しくて」 「懸命にもなりますわ。だって、わたくし自身が身に付けたいものだったのですもの」 それを聞いて、イズラはまた幸せを味わった。 イズラはカリの耳元に口付け、また礼を言った。 今度はカリは無言で、自分の耳に手をやる。 その顔は赤い。 イズラは笑ってそんなカリにおやすみを言い、自分の邸へと帰って行った。
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