招待

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       ―Ⅶ―    ミナたちは、採石から戻って会議室に行くと、それぞれに彩石を配った。 休んでいたステュウ、ゼノ、ラシャも来て、彩石を入れた重い袋を受け取る。 ミナは、終業すると、サリから招待状のことを聞き、一旦彩石判定師室へと向かった。 城で働く者たちの招待状はすべて、王城にひとまとめで来ており、それをさらに各執務室などに送ってあったので、ミナの場合は彩石判定師室に来ていたのだ。 デュッカの分は風の宮に来ていたのだが、そちらからさらに本人へと転送されて、採石場で既に受け取っていた。 招待状を持って居室に戻り、彩石の入った重い袋をデュッカに運び入れてもらって、ミナは彩石袋の中身を整理した。 今回、ザクォーネは水の国ということで、水の彩石を多めに採ってきた。 主に伝達として使うつもりだが、その多くは青水石だ。 水は伝達には向かないが、例えば、単なる警告を発するためなら、注意を引くだけでいい。 彩石の整理をし終えると、ミナは汗を流し、服を着替える。 時間になると、隣のデュッカ、同じ階に居室のあるサリとともに食堂へ向かった。 今夜の食堂もいつもと違って、大きな楕円の机がひとつと、そこに椅子がいくらか並べられてあった。 机に並ぶのは、アークとルーク、ユラ-カグナ、彩石騎士たちにザハリラ、そしてサリとミナとデュッカとロアだ。 乾杯の合図で杯を(あお)ると、静かな食事が始まる。 そこに横たわるのは、決意と、期待と、不安だ。 ザハリラの揺れる気配は軽減したようだが、依然不安なのは仕方のないことだ。 ミナも今回ばかりは、不安に思う気持ちを否定することなどできない。 ただ、サリの手前、怯えた様子は見せたくないなと思う。 そんないつもより重い空気の食事から一転、談話室では明日の婚約式のことが語られ、大いに盛り上がった。 一同は表神殿で集まることにして、ザハリラはあらかじめ、ムトたちが1日観光に連れ出すことが決まっていた。 観光などできる心境ではない、と控えめに辞退するザハリラには、ザクォーネ王国発展の形として、参考にならないだろうかということで、なるほどと首を縦に振らせることに成功していた。 そんな夜もやがて更け、一同は自室や自宅へと戻っていった。
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