5章

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紫苑の凶行の事の始まりは千年前、那由他と言う始祖還りの少女が十二御家の所有する破魔の大剣を完成させるべく生贄のように灼熱の鋼鉄に溶かされた事を恨み 十二御家の全ての者に復讐を誓った事。 菊が探り当てた古い伝承のように、鬼の血の因子による狂行に慣れている十二御家の者はためらいもせず那由他を贄にした。 そして気が狂ったように紫苑は怪しい薬を世にばら撒いたり、恨みから十二御家の者を手に掛けた為、一族の者に長い年月封印されていた。 しかしその封印が綻び世に意識だけを自由にする事ができるようになった彼は 自身に施された封印の解除の方法を七不思議として学校の中に仕掛けた。 そして桜井彼方達が願いの叶う物だと勘違いさせられたまま儀式めいた事を実行させられ 卯月紫苑は封印を解き自由になった。 まず卯月紫苑はある事を目的にし七不思議の実行者である者の中から彼方を選び連れ去った。 自分の術で歪ませた空間の存在する旧校舎に、従者として惨たらしい実験の結果鬼の血を輸血された強化人間として蘇らせた。 「…那由他を再びこの世に戻す為の贄が必要だった」 紫苑は話す。 鬼の血の因子を持つ者は十二御家の者だけではない。 十二御家を疎み家を出た無名の者は多く、既に鬼の血の因子は日本各地にばら撒かれてしまっている事を。 那由他の体を再構築させる為に彼は鬼の血の因子を濃く次ぐ人々を選び首だけを持ち去るよう彼方に命令をした。 鬼の血の因子は頭部に多くあるので、首だけを持ち出すようにした。時には首を切り取らない素体まで。 それらを掻き集めて紫苑は那由他の体を再び生成させようとしていた。 しかし首だけを持って来させた事が猟奇連続殺人事件の足を残す結果と化してしまった。 旧校舎の空間を術で歪まし気配を消す事によってそれを隠れ家に利用していた。 そして、やり場に困った実験の残り滓ー人体の一部を使い魔にして旧校舎に放っていた。 それが旧校舎に蔓延っていた腐乱死体の化物の正体だったという。
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