5章

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彼らを襲ってきたのはまるでB級のホラー映画のような化物達。 それを彼らは静かになった教室で一纏めにしてみた。 「首と顔…首の無い体…内臓…恐らく全てが人の体の一部ばかりだ」 「確かに…つまりは、人が元の化物がここには多くいるって事ですね…後は、拳銃は有効、と」 桜井は特に最初に出現した顔と手を持った大きな怪物に着眼していた。 「最初に出てきた首の化物は…恐らく、持ち去られた仏さんの首で出来た物だろう、 確実にここには連続首無し殺人事件の手掛かりがある」 恐らく犯人も潜伏している。 まだ刑事になって日の浅い早乙女はグロテスクな化物達に吐き気を覚えつつも桜井の推理の通り攻撃に有効な拳銃で応戦する事にした。 そして持ってきた拳銃は三丁、そして腰と肩掛けのホルダーにある弾には限りがあったので それを切らさぬために無駄な打ち合いは控えつつとにかく敵の動きを抑える事を目的に拳銃を使う事と桜井に釘をさされる。 2体の血生臭い遺体の化物をそのままにし、桜井は教室の外の入り口上を見る。するとそこには三ノ四という表札が掛かっていた。 「ほう…三年生の教室と言う事は屋上は近いという事か、運がいいな。このまま敵勢力を排除しつつ屋上の階段を探すぞ」 「はいっ」 特殊部隊のように外を伺い敵影が無いので慎重に教室の外に出る。やはり可笑しな状態になっていた。 屋上と天井が逆さになり、至る所に教室の扉が配置されていたり 廊下の一部が途切れていて、黒と紫の混ざった不思議な空間の割れ目のような物が覗いていた。 『うううぅ…』 『あぁぁぁ…痛い、痛い…』 耳障りのするような悲鳴と声が聞こえてくる。未だここには打倒した化物以外の有象無象が存在しているらしい。 2人は弾の残弾に気を付けつつ慎重に着実に屋上を目指して行った。
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