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「栄くん、もしよかったら秀はここで帰すから僕が───」
正は秀を無視して栄に向かった。
「いいっ。いいよ、ありがとう、水無くん。俺、サークルとかも興味あるから、えっと…友樹さん?についてくから。」
あっさりと断られてしまう。
正はサークルには疎いため、そう言われてしまうとこれ以上案内できることはない。
「水無くん、フラれちゃったね。」
友樹が以前の調子で正をからかった。
しょんぼりと肩を落としていると、秀がその肩を抱いてきた。
「ほらほら、友樹も栄くんもこう言ってることだし、俺らはお茶でもしに行こうよ。」
最初からそのつもりで栄を友樹に押しつけたくせに。
正は溜息を吐いた。
「じゃあね、水無くん!今日はありがとう!!」
秀の監視から離れられ、栄はさっぱりと笑顔で正に手を振った。
友樹も可笑しそうに正たちに手を振る。
「またね。」
正もさすがに諦めて、二人に手を振った。
隣で満面の笑みを浮かべ栄たちに手を振る秀が憎たらしい。
「もうっ!」
とんっと自分の肩を秀の肩にぶつけてやった。
「あはっ、怒るなよ~。もうたっぷり案内してやったじゃん。その間俺、すごく我慢したじゃ~ん。」
ちょっと拗ねたように言うから、正も本気で怒りきれない。
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