6

28/30
1218人が本棚に入れています
本棚に追加
/301ページ
「栄くん、もしよかったら秀はここで帰すから僕が───」 正は秀を無視して栄に向かった。 「いいっ。いいよ、ありがとう、水無くん。俺、サークルとかも興味あるから、えっと…友樹さん?についてくから。」 あっさりと断られてしまう。 正はサークルには疎いため、そう言われてしまうとこれ以上案内できることはない。 「水無くん、フラれちゃったね。」 友樹が以前の調子で正をからかった。 しょんぼりと肩を落としていると、秀がその肩を抱いてきた。 「ほらほら、友樹も栄くんもこう言ってることだし、俺らはお茶でもしに行こうよ。」 最初からそのつもりで栄を友樹に押しつけたくせに。 正は溜息を吐いた。 「じゃあね、水無くん!今日はありがとう!!」 秀の監視から離れられ、栄はさっぱりと笑顔で正に手を振った。 友樹も可笑しそうに正たちに手を振る。 「またね。」 正もさすがに諦めて、二人に手を振った。 隣で満面の笑みを浮かべ栄たちに手を振る秀が憎たらしい。 「もうっ!」 とんっと自分の肩を秀の肩にぶつけてやった。 「あはっ、怒るなよ~。もうたっぷり案内してやったじゃん。その間俺、すごく我慢したじゃ~ん。」 ちょっと拗ねたように言うから、正も本気で怒りきれない。
/301ページ

最初のコメントを投稿しよう!