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3章
「お疲れさま、カナタ」
久しぶりの大物を相手にした後の少年に近づく影があった。
「…チカゲか、そちらもご苦労だったな」
少年の見た目にしては少し年季の入った言葉遣いをたまにするのは、彼の年齢が見た目相応ではないからだ。
ここは都心の中でも指折りに入る閑静な住宅街に囲まれた大きな公園で合った。
時刻は午前0時30、気が付けばチカゲと呼ばれた少女だけではない黒づくめの集団が公園に点在しており
討滅した鬼に大きなビニールシートが掛けられていた。
少年と少女は警察組織に密かに擁護されている『鬼人科(オニビトカ)』という部署に所属しているメンバーである。
『鬼人科』の任務内容は、鬼化(オニカ)しそうになった人間の保護と治療
そして鬼化してしまいすでに手遅れな元人間を処理するという2つの単純な仕事がある部署である。
「…今回も、間に合わなかったか」
彼方とチカゲの背後に中年ほどの青年が控えていた。
彼は『鬼人科』の若きトップ、卯月裁太郎(うづき さいたろう)。
純粋な鬼の血脈を残そうとする旧家の一族の一人でもあった。
なので全世界においても彼は有数の権力を誇るのである。
この世界には鬼という伝説上の化け物が存在していた。
今現在この世界はその超人的な能力を有する血族に支配されているようなものだった。
その一族は氏名を暦月の呼び方にして十二御家存在している。
卯月~師走。その名を持つものはつまりは、その旧家であり名家に属していると言ってもいい。
しかし『卯月』はとある理由から降格してしまい、今現在2番目の『如月』の姓を持つものが十二御家の頂点に座していた。
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