第 1 章  高嶺の花

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俺たちはそのギターのメロディーに誘われて歩き出した。 教室に近づき、中を覗くとギターを手に五名ほどの女子が座っているのが見えた。 十名もいるかいないかの聴衆の前で、何とも古臭い曲を弾いていた。 ここは規律がとても厳しいと有名な女子校だ。 だからなのだろうと想像するが、俺たちなら文化祭で絶対に選択しない曲想だ。 童謡だか、民謡だか知らないが、とにかくティーンエイジャーには無縁の古めかしい曲を五名の生徒が大真面目な顔で演奏していた。 『あ!』 心の中で叫んだ。 五名の中に、若咲の顔を見つけたのだ。 
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