第 1 章  高嶺の花

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二人ともちょっと頭を下げて謝った。 よく見ると、その女性の頭に黒いベール。 シスターかな? 演奏が終わると、真っ先にシスターは拍手した。 他の観客もパチパチとまばらに生気のない拍手をした。 演奏者の五人は椅子に座ったまま、お辞儀をした。 左端の生徒が三年生だろうか。 目で合図をすると、次の演奏が始まった。 若咲は真剣な顔で熱心にギターを弾いていた。 緊張しているようにも見えた。 楽譜を見るためなのだろう。 エンジ色の縁の眼鏡をかけている。 アイツが近眼なのを思い出した。 眼鏡をかけていても、相変わらず可愛いかった。 
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