第 1 章  高嶺の花

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出会ってから十六年間、片時も忘れたことのない名前。 だが、当の本人には中学卒業以来一度も会っていない。 十六年前、本人に近い位置にいながら、心は少しも近づけずに終わった。 俺の初恋。 中三に進級するときにクラス替えがあり、別々のクラスになった。 一年後、卒業。 進学した高校も別々だった。 だから、俺の存在など若咲の記憶の中にあるとは到底思えない。 俺の進学した学校は共学だったが、当時は入学する女子は少数で圧倒的に男が多い高校だった。 黒一色の学ランだらけのやもめクラスになると、クラスの男どもは年がら年中教室で下品な話を平気でした。
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