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リードしていると思っていたが・・・。
どうやら、されてるのは俺の方だな。
アイツはまだ目を瞑ったままだ。
そっと額にキスする。
アイツの頭をぽんと右手のひらで軽く押さえた。
「え?」
拍子抜けしたような顔になって目を開けた。
憂いを帯びたその瞳に吸い寄せられ、まるでいつも言ってるような口振りでアイツの耳元で囁く。
「カタオカさん、先にシャワーを浴びていいよ」
ピッタリくっついた若咲の上体がピクッとした。
「うん・・・」
「オオカミは忍耐強いんだ」
「もう・・・」
アイツは真っ赤になって、今までに見たこともないくらいの恥じらいを見せて、バッグを抱えてバスルームに消えた。
完
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