肉と眼鏡、あとビール。

2/11
20人が本棚に入れています
本棚に追加
/13ページ
 恋に落ちるのは一瞬、って誰が言ったんだっけか。 まさに今、私は落ちている。  涎と共に、落ちている。 ――――  もう徹夜は勘弁してくれ、と何度思った事か。 思うばかりで回避は出来ずに今日も残業して仮眠――気絶? のような眠りを一時間ほどして、今。 休日のブランチかランチ、という時間のカフェテラスに私はいる。  道沿いにある店の軒先の日陰、大きなパラソルも手伝って眩しくはない。 組んだ足の方のパンプスの踵を外して、ゆらゆら、と遊ばせる。  さて、何を頼みましょうか。  お腹はぺこぺこに減っている。 がっつり行きたいような気もするけれど、と眼鏡を軽く上げて、選択。  ……たまには自分を甘やかしましょうか。  軽く手を上げて店員を呼ぶ。 「はい、お待たせしました。お伺いします」
/13ページ

最初のコメントを投稿しよう!