20人が本棚に入れています
本棚に追加
/13ページ
可愛い系青年、日が浅いバイト君、って感じかしら。
と、私はカメラのシャッターのように眼鏡の奥の目を瞬きさせた。
これは癖――嫌な癖かも。
そして趣味でもある。
「……あの?」
「――失礼。厚切りベーコンと二種のソーセージ、マッシュポテトと、この……赤いビールって美味しい?」
そう聞くと店員君は、はいっ、と笑顔を作った。
ちょっと眩しいので、ぱたん、とすぐにメニューを閉じた私は、じゃあそれで、と笑顔返し。
あー、私ももう少し若ければ――今も若いですけども!
なんて、思ってもしょうがない事にため息をつきつつバッグから携帯電話を取り出した。
本日、十月一日は――眼鏡の日、だとか。
呟きサイトには眼鏡をかけたイラストが並んでいる。
皆、上手。
けれど不思議な事に自分で眼鏡をかけている人はいない。
まぁ個人情報漏洩防止のためかもしれないけど、と私は眼鏡のつるをなぞりつつ、そのまま横髪を耳にかけた。
最初のコメントを投稿しよう!