第1章

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例の新入社員が、寄りによって、先ずは、うちらの仕事を覚える為早速人員配置に組まれているのを見たオジサンたちは逃げ腰 「香ちゃ~ん、何とかして新入りに教えてあげてくれよ」 「マジですか?無理ですってば。私まだ入社して1ヶ月です」 「何言ってんだ秋瀬、お前が教えてやれ」 鶴の一声 嫌な予感的中 苦手な上司がニコニコ上機嫌で立っている 普段、人に教えるとなると部屋へ直ぐ逃げる上司に まぁほんの軽い殺意を抱いたのは言うまでもない 朝っぱらからすったもんだの会話も虚しく仕事開始 世間一般何処の企業でも当たり前だが私語など一切禁止の職場に突如小声が飛び込んできた 「ねぇ、俺と付き合って欲しいな」 今のは誰の声?誰に言ってるの? 空耳かと思ったが現実 何と向かい合わせに座っていた新入社員が私に話しかけている 有り得ない 仕事中でしょ?空気読めないの?と思った 同僚たちや怖い先輩方、上司がいる中勿論そんな状況で「はい」と言える筈もない 此方は毎日仕事を覚えたり身体を今回の再就職や通勤に馴らしていくのに手一杯。とても恋愛どころではない。 「考えさせて下さい」そう言うのがやっとだった。
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