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「愛花ちゃん。来週日曜日シフト入れない?」
「えぇ~。私ちょっと忙しいんですよねぇ。」
とあるコンビニのスタッフルーム。様々な商品がごった返している上に限りなくスペースがないため、歩くのも一苦労だ。
そんな場所で俺がこのコンビニのスタッフの証でもあるユニフォームに着替えている中、目の前では俺と同じ格好をした30過ぎのチャラい感じの男と誰が見ても可愛いというか美しいというか容姿の整った女が椅子に座って話をしている。
「そんなこと言わずにさぁ。ね、頼むよ。今度から時給上げてあげるからさ。」
「ホントですかぁ?じゃあ、ちょっと頑張っちゃおうかなぁ」
両手を膝に置いて乗り出すように男に顔を近づける女は名を安達愛花という。俺が通う東明大学に通う一つ下。華の女子大生である。
それだけではない。彼女は1年生だてらに我が東明大のミスに選ばれ「ミス東明」を欲しいがままにしている人物である。そんな人物に顔を近づけられたら誰でも今の店長のように顔が弛緩してしまうというものだ。
「ありがとう!愛花ちゃんはやっぱりかわいいなぁ」
「えぇ~。そんなことないですって。」
「いやいや、なんというかその辺の女子大生とは一味違うっていうかさぁ。学校でもモテるでしょ?」
「もぉセクハラですよ。店長さん。」
軽く店長の腕を叩くその仕草。うん、さすがである。痛みを伴わない女子の攻撃は別名ボディタッチと言われる凄まじい反則技である。現に今こうして彼女の時給がいとも簡単に上がってしまった。あいつより1年長く働いている俺ですらまだ時給上がってないのに。
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