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目を閉じて、指で眉間のしわをほぐしながら、お母さんの幻滅顔を思い浮かべる。 中学入試を失敗した時の、あの憐みとも呆れとも取れる顔。 なんでこの子はお姉ちゃんと違って出来が悪いんだろう、って言わんばかりの顔が頭に甦り、心が重くなった。 「……」 ダメだ、ダメだ。 またネガティブになってる。 こんなんだから、表情も暗いって言われるんだ。 そうだ、桐谷さんの生の絵を拝みに行こう。 気分をリフレッシュさせてもらおう。 そう思って、考える人ポーズをようやく崩し、目を開けた瞬間。 「薄……」    
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