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え? 背後から、ぼそりと声が聞こえた。 「影、もっと濃くしないと、光が当たってるとこ際立たない」 振り返ると、夕方のオレンジ色の光を受けた、見覚えのある気だるげな男。 首の後ろを手で押さえて、頭を軽く傾けている。 「え……?」 なに? もしかしてこの人……美術部……。 「あ」 校内でいかがわしいことをしていた葉っぱ男を目の前に言葉を無くしていると、私の顔を見て思い出したらしい彼が、口をゆっくり開ける。 「よく会うね、アンタ」 「水島です」 「水島さん」 ふ、と彼が笑った。
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