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「青っ!?」
これでもかっていうくらいの赤の中に、とてつもない存在感を持つ、子どもの落書きのような青。
「ハハッ。その顔っ」
思わず腰を浮かせて驚いた私の顔を見て、桐谷先輩が顔をクシャッとさせて笑った。
「あっ、遊んでるのはそっちじゃないですかっ!?
私の初めての油絵の作品になんてことをっ」
「これで遊べるでしょ? 水島さんも」
「台無しですよ!」
「じゃあ、台無しついでに、グチャグチャに好きな色塗っちゃえばいいよ」
拳を振り上げて怒る真似をする私に、アハハハ、と本当に悪ガキのように笑う桐谷先輩。
なんなんだ、本当にこの人は。
やっぱり、変な男だ。
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