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「しつこいついでに質問、いいですか?」 「……いいけど」 一歩、二歩と進んで、少しだけ中を覗き込む。 “無題 2年 桐谷 遥”をバックに、身長差も理想的な美男美女が向かい合って立っている。 ……何してるんだろう、私……。 急に、覗いている自分がとてつもなく惨めに思えてくる。 「なんで“無題”なんですか? タイトル」 ――え? 舞川さんの質問に、私は思わず体がピクリと動いた。 やだ。 私が以前桐谷先輩に聞いたことと全く同じなのに、なんだかものすごく嫌な気持ちになる。 「めんどくさいから」 首の後ろを押さえながら、気だるさ満載で私の時とまったく同じ返答をする桐谷先輩。
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