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ダメだ。 蒸発してしまいたい。 なぜだか目頭が熱い。 動悸も激しい。 自分が自分じゃないみたいだ。 「……水島さん」 美術準備室の中からゆっくりとこっちに向かってくる桐谷先輩。 その静かな声に、稲妻に打たれたような緊張が走った。 「……」 私は、さっきの“ダメ”発言の真意を問われるのが怖くて、そしてそれを言った自分の気持ちに向き合うのが怖くて、きゅっと下唇を噛む。 じっと私を見たままで、目の前まで来た彼。 頭を傾けながら、やはりゆっくりと口を開けた。 「バスの時間、また過ぎてない?」 「ああっ!!」 また、私の大声が美術室に響いた。
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