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「同じクラスや部活の人に手を出す気はないし」
「え?」
ガタゴトとバスと同じリズムで揺れる私と桐谷先輩。
窓なんて開いていないのに、冷たい風が吹き抜けた気がした。
「そ……そうなんですね」
「うん、めんどくさいから」
桐谷先輩はにっこりと笑う。
私は、自分の手先が段々冷たくなるのを感じた。
なんだか、全部見透かされていて、釘を刺されているような気がする。
これ以上、好きになるなって……。
「……」
ドクン、とさっきと打って変わって、熱くて苦いものがこみ上げる。
好きだということを自分で認めた途端に、一気に胸に痛みが広がった。
あれ? 私、自覚したと同時に失恋してる……。
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