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なんか、すっごく普通だ。 いつもの、何を考えているのかわからない顔で、だるっとした態度。 声をかけてきたのは先輩のほうなのに、私の方が何か喋らないといけないような空気にさせられる。 「あの……。なんですか? なにか……」 「来ないの?」 「え?」 「来ないの? 美術室」 抑揚のない声は、ほんの少し威圧的にも感じられる。 それに、なんか……、呼吸……しづらい。 トク……トク……と、心臓を打つリズムが速まっていくような気がして、それを抑えようとすればするほど、目の前の1ヶ月近くぶりの人を意識してしまう。 「えー……と、……はい。いろいろあって、仮入部終了しようかな、なんて」
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