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「母親?」 すかさず言われたワードに、私は頭をかいていた手を止める。 「……あ、聞きましたか? 舞川さんに。……ハハ、そうです」 「ふーん……」 なにこの無表情。 なにこの沈黙。 なにこの空気。 “ただ、いい大学入ること、親の期待に応えることだけ。からっぽの人間みたい” そう相談した私に、“からっぽの人間”突き進むんだ、と言っているような目。 ううん、そんなのただ自分がそう思ってるだけで、桐谷先輩は何も思ってないのかもしれない。 そこまで私に関心持っているようには見えない。 「じゃあ……」 自分で勝手に、この沈黙をいろんな意味に解釈してしまいそうで耐え切れなくなった私は、まだ隣に諏訪君がいるにもかかわらず、帰ろうとする。
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