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「……天然のタラシ」
すぐ横で、ボソッと呟くように聞こえた声。
その主は、窓に寄りかかる姿勢をそのままに、
「先輩さん。すみませんけど、バスの時間までこの人とふたりで話したいんで、そろそろ解放してもらえます?」
と、言った。
……へ?
驚いた私とともに、飄々とした表情の諏訪君へ顔を向ける桐谷先輩。
「それに、水島にも水島の事情があるんで、逐一、先輩さんのわがままにつきあってられないと思いますけど」
「諏訪君」
敬語だけれど強気な諏訪君の口調に、私はちょっとドギマギして、落ち着かせようと声をかける。
「……彼氏?」
私へと視線を移し、きょとんとした顔で聞いてくる桐谷先輩。
「……い」
「その予定です」
……え?
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