8

26/40

259人が本棚に入れています
本棚に追加
/40ページ
「だれだよ、桐谷先輩ってー。舞川さん彼氏いないって言ってたじゃんよー。なんなの? つきあってんの?」 「いや、ごめん、違うかも。よろけたのを受け止めてただけかも。わかんないけど」 涙目の中野君に必死で言うと、 「だよなー。確認せずに決めつけるのはよくないよな。うん、よくない。よって、彼氏じゃない。うん、違うはず。うん」 と、彼は自分に言い聞かせるように呟く。 「桐谷先輩って、昨日のあの先輩?」 すかさず聞いてきたのは諏訪君。 ちょっと不機嫌そうな顔。 「……うん」 「なになに? 昨日なにがあったの? ちょっとおばさんに教えなさいよ」 割り込んでくる涼子に、「なにもないよ」とごまかすと、ちょうど昼休み終了のチャイムが鳴った。 是枝君と諏訪君が自分のクラスに戻ってから、私は「はぁ~」と大きなため息をついた。          
/40ページ

最初のコメントを投稿しよう!

259人が本棚に入れています
本棚に追加