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「あんなこと、ってキス?」
「え?」
桐谷先輩の言葉に、私は背けていた顔を咄嗟に彼のほうへと向ける。
「あ。なんだ。あの前は見てなかったんだ?」
「……」
ふーん、と飄々と言いながら、イヤホンを片耳につけようとする桐谷先輩。
は? なに? キスもしたの? 舞川さんと?
「同じ部活でそういうの、しないって……」
言いようのないドロドロした気持ちがまた、私の胸の内を埋め尽くしていく。
「つきあうんですか?」
「まさか」
桐谷先輩がもう片方の耳につけようとしたイヤホン。
気付けば私は、それを無理やり取っていた。
「舞川さんに失礼です! そんな、傷付けるようなことしないでください。彼女は本気で先輩のこと」
「みたいだね。じゃあ、つきあおうかな」
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