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「……」 結局、こちら側に体を向けたまま立たれているので、物理的には 離れたものの、緊張感は変わらないまま。 先輩は本当にいつもと変わらず、私だけがイライラしている。 こんなふうになんてなりたくなくて、諦めるつもりだった。 恋愛感情抜きで普通に接したくて、先輩にも迷惑をかけたくなくて、それで1ヶ月、美術室も桐谷先輩も絶っていたのに……。 なのに、自分の心も、桐谷先輩さえもがそれを邪魔するから、私はいつまでたってもぐるぐるぐるぐる……。 「髪。キレーだね。上から見たら、輪っかできてる」 「……見ないでください」 ほら、この人はまるっきし空気を読む気がない。
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