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「沙希さー」
「んー?」
諏訪君と是枝君がいなくなり、また英単語覚えを再開した私は、涼子にテキトーに返す。
「諏訪君といい感じ」
「なにそれ」
ふ、と鼻で笑う。
「なんか、合ってる。沙希には、ああいう気さくで話しやすくて女遊びしなさそうで単純そうな同級生のほうが、いいと思う」
「それ、諏訪君に言ったら激怒されるよ、アンタ」
涼子が比べているのが誰なのかは明らかだったけど、私は口に出さなかった。
「んでもって、つきあった暁には、私と是枝君との仲を取り持ってくれたまえ」
「話、飛躍しすぎ。そもそも是枝君好きなわけじゃないでしょ? 涼子」
「カタチから入ることも、たまには必要ぞ!」
なんのキャラだ。
そこから始まる恋がどうのこうの、と続けて熱弁している涼子の横で、私はまた英単語帳に視線を戻した。
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