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卑屈になりそうになって、私はその思考を振り切り、
「ごめんね、実はお母さんに仮入部のこと言ってなくて……」
と、嘘ではない事情を正直に説明しだした。
ひと通り聞いた舞川さんは、
「そうなんだ……。お母さん、厳しいんだね。じゃあ、正式に入部せずに、このまま……?」
と、残念そうな表情を向けてくる。
「……そうなるかも」
私は眉を下げながら笑顔を作り、「じゃあ、バイバイ」と手を振って昇降口へと向かった。
靴に履き替えて外へ出ようとすると、いまだ降り止まない小雨がシトシトと景色を薄暗く濡らしている。
傘を差して歩きだした私は、雨の日って、……なんか、水色じゃなくて灰色だ……と、ぼんやりそう思った。
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